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漆蒔上絵物語  その2ー漆を探して

漆蒔上絵技法は、漆を使い絵具をくっつけるのですから、
まず漆が必要です。
当時一軒だけ営業なさっており、
今はもう廃業なさってしまった近所の絵具屋さんを、
まず訪ねました。
「漆蒔をしたいので、漆を下さい。」
「は・・・???」
「あの〜〜〜、漆蒔に使う漆が欲しいんですけど。」
「そ〜んなもん、も〜売っとらんわ。」
「えっ、そ、そんな・・・どこへ行けば買えるんでしょうか??」
「さあぁ〜・・・。」
と、ヘンテコな噛み合わない会話で終わってしまいました。
さて、ど〜しましょ・・・。なんで売ってないの???
こんな時にはものつくり人の助っ人店。
とりあえず東急ハンズに出かけました。続く。

九谷の上絵試作です。
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転写紙に油溶き絵具を重ねた試作です。
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# by studio-tokuda | 2010-05-09 22:13 | 漆蒔上絵物語 | Comments(0)

漆蒔上絵物語  その1ー現代の上絵 

絵を描いていたので、絵付けの技法にはとても興味がありました。
学んだ技法はどれもみな「現代の空間に合う、今という時代の上絵。」
の可能性を感じさせてくれました。
伝統は、今に生かしてこその財産です。
おこがましいですが、それを目指し試作を始めました。
もう10年程前のことになります。
九谷。転写紙。転写紙と油溶きの組み合わせ。
いろいろ試作を始めた中で、私の無知さからでもありますが、
いきなり材料探しから壁にぶつかり、
謎だらけだったのが・・・漆蒔でした。続く。

漆蒔上絵物語  その1ー現代の上絵 _d0156360_21213721.jpg
# by studio-tokuda | 2010-05-08 21:32 | 漆蒔上絵物語 | Comments(0)

漆蒔上絵物語  絵付け説明の巻

漆蒔上絵物語を始める前に、簡単にざっくりとですが、絵付けの説明をします。
私の乏しい知識と経験からの説明ですが、おつき合いください。
まず絵付けには、上絵付けと下絵付けがあります。

上絵付けからいきます。
絵の具は普通粉状になっています。和絵具と洋絵具(後日説明します)があります。
素焼き(窯1回目)→釉薬をかける→本焼成(窯2回目)が済み、
すでにうつわとして使用できる状態のものに、何らかの方法で粉状の絵の具をくっつけて、
もう一度窯で焼き付ける(窯3回目)ことを上絵付けといいます。
窯の温度は700度〜800度位、素焼き程度の低温です。合計3回焼いて完成です。
私の場合は、さらに4回目を焼くこともあります。

下絵付けとは。
美し藍色の発色模様のお茶わん等の染め付けは、下絵付けと呼ばれています。
素焼(窯1回目)したものに、呉須(コバルト色の顔料)を水で溶いたもので模様を描き、
下に描いた模様が透けて見えるように、透明な釉薬をかけて本焼成(窯2回目)します。
2回焼いて完成です。

その他の装飾技法
・下絵と上絵のミックスの技法もあります。
・転写紙といって、シート状になったものを好みの形に切り抜き、
 水をつけて貼り付ける技法もあります。
・金彩、銀彩。プラチナ等焼き付けることもできます。

上絵付けで、絵の具をうつわにくっつける方法のいろいろを紹介します。
*「ふのり」と水でよくすり練って、盛りつけようにしてくっつける『九谷の技法。』
* 水と「アラビアゴム」でくっつける『水溶き技法。』
*「コバイバルサム」という油でよく練ってくっつける『油溶き技法。』
*「漆」の粘着力を利用してくっつける『漆蒔技法。』

そうです。「」の中のものは、何かしら粘着性のあるものなんです。
やろうと思えば「木工用のボンド」でもつけられます。
つるりとした焼き物の表面に粉状の絵具をくっつけるための、先人達の工夫の技法です。
焼くと「ふのり」も「アラビアゴム」も「コバイバルサム」も「漆」も、
み〜〜んな焼けてなくなってしまって、絵の具だけが残ってうつわに焼き付く訳です。

同じ絵具を使っても、それぞれ発色の様子も違い、それぞれのおもしろさがあります。
この中の、「漆を使って絵の具をくっつける技法」が『漆蒔上絵技法』なんです。
ちょっと長くなりましたが、お解りいただけたでしょうか?
今日はこのへんまで・・・続く。

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# by studio-tokuda | 2010-05-07 16:47 | 漆蒔上絵物語 | Comments(0)

徳田吉美のプロフィールなどなど

名古屋市生まれ。
愛知県立旭丘高校美術科、武蔵野美術大学短大美術科油絵専攻卒業後
ムサ美短大油絵研究室に勤務。
学生時代、教職選択のカリキュラムに焼き物があり、興味を持つ。
その後東京にてギャラリー、デザイン事務所勤務
フリーにてTV、雑誌、広告美術の仕事を15年程する。
働きながら絵画やオブジェを発表するが
たまたま住んだアパート敷地内に窯があり
(東京国分寺、児嶋善三郎邸・松籟窯)
1990年頃から自分の食器等を作り始める。
生き方を深く考える出来事に遭遇し
岐阜県立多治見工業高校専攻科にて焼き物を再び学び直す。
在学中、古くからの友人安藤雅信氏が
多治見市山吹町に設立したStudioMAVO内に工房を構える。
2001年に卒業、窯を購入しstudio TOKUDA設立。
個展を中心に作品を発表。
2016年名古屋市美術館「ポジション2016 アートとクラフトの蜜月」に参加。
2016年美濃陶芸永年保存作品に選定していただく。
夢は海近職住合体!

ぐるぐると廻り道より道で、人生20周ほど遅れのスタートです。
生活を楽しむためのものを、焼き物という素材でさぐっています。
取り扱い店舗&ギャラリー等は、また後日お知らせします。
次回から漆蒔上絵物語、少しずつ始めます。

HPは★こちらからどうぞ


☆裏バージョンプロフィールは
ギャルリももぐさ「暮しの造形展Ⅵ」(2016/7)DMからお読みいただけます。





徳田吉美のプロフィールなどなど_d0156360_2228492.jpg
# by studio-tokuda | 2010-05-02 22:34 | プロフィール | Comments(9)

お知らせ二つ

ツツジやハナミズキが鮮やかなGWが始まりましたね。
仕事は休めなくても、休日にはいつもとは違う時間の流れを感じて、少しなごみます。
二つお知らせがあります。

ものつくり人の大いなる助っ人、東急ハンズ名古屋店さんが、
「HANDS BOX」という、雑誌をつくっていらっしゃいます。
毎回テーマがあり、今回のVol.06のテーマは『温故創新』です。
私の漆蒔上絵を取材して下さいました。
下記の東急ハンズさんのHP ( 「HANDS BOX Vol.06」Web版はこちらから)で、
読んでいただけます。6〜7ページの、7ページに掲載です。
これから少しずつ書いていこうと思う、
漆蒔物語のプロローグとしても読んでいただけたらうれしいです。
http://nagoya.tokyu-hands.co.jp/

もう一つは、今週土曜日から始まる展覧会に参加のお知らせです。
会場は、多治見のセラミックパークMINOです。
100人から参加のでっかい展覧会です。
「陶芸作家展 2010」です。詳細は下記でご覧いただけます。
お近くにいらっしゃるご予定のある方は、どうぞお立ち寄りください。
http://www.cpm-gifu.jp/oribe/self/sakkaten/2010/index.html

では皆様、素敵なGWをおすごしください!
# by studio-tokuda | 2010-04-29 21:12 | お知らせ | Comments(0)